- 「毎日くん」
産業機械メーカーで検索圏外から2位になった3週間 ココロバレが設計した発信設計の全⼯程
目次
ある産業機械メーカーの社長が、業界のコアキーワードを検索してみたとき、自分の会社が一切表示されないことに気づきました。「技術には絶対の自信がある。でも、誰にも見つけてもらえていなかった」と、そのときの言葉を覚えています。問題は技術力でも価格でも営業力でもありませんでした。その技術が、インターネット上で言葉になっていなかったのです。ココロバレが設計から関わった3週間の記録を、工程ごとに開示します。
この記事でわかることは、以下の3つです。
- 技術力がある会社が検索されない構造的な理由
- ヒアリングで何を引き出し、どう記事の軸を設計したか
- 3週間で圏外から2位になった因果関係と、再現の前提条件
技術力があるのに検索されない会社に共通している構造的な欠如
この産業機械メーカーは、90年以上の製造実績を持ち、競合他社が対応できないレベルの精度管理を当然のこととしてこなしていました。それが検索結果に一切反映されていなかった。
なぜか。ウェブサイトには確かに技術の説明や製品のラインナップはありました。ただ、「なぜこの会社に頼むのか」という問いに答える言葉が、どこにもなかったのです。Googleは「その会社にしか語れない情報」を求めています。代替可能な表現では順位はつきません。
製造業のウェブサイトに一次情報が少ない理由には、構造的な背景があります。サイト制作会社の多くは、見た目と機能を重視する傾向があります。検索で選ばれるためのコンテンツ設計は、また別の専門性です。見た目の整ったサイトが完成しても、そこに検索エンジンが評価するコンテンツが存在しなければ、圏外という状態は変わりません。
AIが引用するのは、定義・根拠・一次情報を含む文章です。「どこにでも書いてある表現」は、AIにもGoogleにも評価されません。
この会社は技術力で負けていませんでした。ただ、技術力が言葉になっていませんでした。それが3週間前の状況です。
ココロバレがヒアリングで引き出したもの
ココロバレのプロセスは、いつもヒアリングから始まります。何を書くかより先に、「その会社だけが語れる言葉」を引き出すことが設計の核心だからです。
このメーカーでのヒアリングでは、3つの問いを軸に話を重ねました。
「なぜ顧客はこの製品を選ぶのか。競合ではなく、なぜここに発注するのか。」 「どの局面で、この製品が最も役立つのか。他では対応できない状況とは何か。」 「製品を選ぶ担当者が悩んでいる判断基準は何か。スペック表には書かれていない選定理由があるはずだ。」
担当者から最初に返ってくるのは、いつも「うちは特に変わったことをしていないんですけど」という言葉です。それが、一次情報のある会社のパターンです。当たり前すぎて言語化されていないだけで、外から見れば非常識なレベルのこだわりが社内に眠っています。
このメーカーでも同じでした。対応できる精度の幅、納期に関する社内ルール、製造後のサポートの実態。「うちでは当然のこと」として積み上がっていた知見が、競合サイトには一切存在しなかったのです。
ヒアリングで引き出した情報の中から、「見込み客が実際に検索する言葉」と直接つながる素材を選定します。技術者の言葉をそのまま記事にするのではなく、検索行動と接続する表現に変換することが、ここでの設計作業です。
設計の全工程
ヒアリングから公開まで、ここロバレは以下の4工程で設計を進めました。
工程1 目的を固め、競合の空白を見つける
最初に決めるのは「このブログで何を達成するか」です。「あるキーワードで上位表示したい」「特定の顧客層からの問い合わせを増やしたい」という目的が、すべての設計判断の起点になります。目的が曖昧なまま記事を量産しても、方向のない積み上げにしかなりません。
目的が固まれば、競合各社の発信を詳しく分析します。ここで重要なのは「競合より上手く書く」ことではなく、「競合がまだ言語化していない領域はどこか」を見つけることです。この会社には、競合が打ち出せていない固有の現場知見と判断基準がありました。その空白こそが、発信設計の核になります。
工程2 一次情報をキーワードと接続する
ヒアリングで引き出した素材を、見込み客の検索行動と照合します。「このキーワードで検索する人は、今どんな状況で、何を不安に感じているか」を起点に、記事で答えるべき問いを設計します。
企業が思い浮かべるキーワードで検索する人は、潜在顧客の一部に過ぎません。顧客は課題・状況・比較検討など、さまざまな角度から検索します。その複数の入口を設計に組み込むことで、幅広い検索意図をカバーできる状態をつくります。競合が十分に回答できていない角度を優先しながら、記事の軸を決めていきます。この会社では「その会社にしか語れない製品選定の判断基準」を軸に設定しました。スペック比較ではなく、「なぜこの精度が現場で求められるのか」という文脈で書くことで、競合との差異化が成立します。
工程3 記事を設計・制作する
キーワードと軸が決まれば、記事の構成を設計します。見出しの順序は、見込み客が検索した瞬間から意思決定に至るまでの思考の流れに沿わせます。例えば製造業であれば、「課題の認識→原因の理解→選定基準の整理→この会社を選ぶ理由」という流れです。
執筆段階で最も重視したのは、ヒアリングで得た言葉を薄めないことでした。「製造精度を守るために、社内でこういうチェックをしている」「このサイズの機械では、競合がやらないこの工程を必ず入れる」などの具体性が、記事の核心です。一次情報を一般論に希釈した瞬間、その記事は競合と同じ土俵に落ちます。
工程4 公開し、検索結果の変化を確認する
記事を公開した後は、検索順位の変化を追います。順位が上がる過程で「どのセクションが評価されているか」を確認し、次の記事設計にフィードバックします。設計は公開で完結するのではなく、反応を見ながら更新し続けるものです。
3週間前と3週間後で何が変わったのか
3週間前、この会社の社長が自社の強みに関するキーワードを検索しても、自社のサイトは存在しませんでした。3週間後、同じキーワードで2位に表示されました。
変わったのは記事の本数ではありません。変わったのは、記事の中に「その会社にしか語れない判断基準」が含まれていることです。競合サイトは同じキーワードで記事を書いていたかもしれませんが、「なぜこの精度が必要なのか」「どの局面でこの製品が選ばれるのか」という一次情報を持っていなかった。その差が順位に反映されました。
3週間という期間は、一次情報の質・量と、キーワードの競争度が重なった結果です。すべてのキーワードで同じ期間を保証するものではありません。競争度が高いキーワードでは数カ月を要します。ただ、「一次情報を含む記事が競合に勝つ」という構造は、業種やキーワードに関わらず変わりません。
なぜ設計がなければ結果が変わらないのか
この事例で起きたことは、再現可能です。ただし、設計が必要です。
一次情報はどの会社にも存在します。30年の製造実績の中に眠っている判断基準、現場の職人が当然のこととして守っているこだわり、競合との違いを問われたときにしか言語化されない知見。これらは、適切なヒアリングなしには言葉になりません。
外部のライターに記事を発注しても「どこでも読める記事」しか生まれないのは、取材の深度に問題があるのではなく、「何を引き出せばその会社の一次情報になるか」という設計がないからです。記事制作の前に設計がある。その順序が、ココロバレのアプローチの核心です。
製造業での成果、相続専門税理士事務所での地名+ビッグワード1位獲得、採用エントリー数が増加した電気設備会社など。日米累計100社以上の支援で共通しているのは、一次情報を言語化して検索に乗せる設計が先にある、という構造です。業種が違っても、言語化の前に設計が要るという原理は変わりません。
まとめ
産業機械メーカーが3週間で検索圏外から2位になったのは、技術的なSEO対策の結果ではありません。「その会社にしか語れない製品選定の判断基準」を、ヒアリングで引き出し、記事として設計したことが核心でした。一次情報の言語化が先にある。その設計の順序が、記事が資産になるかどうかの分岐点です。
よくある質問
Q. この事例の再現性はどのくらいありますか。
一次情報を持っている会社であれば、同じ設計を適用できます。ただし「3週間で2位」という期間はすべてのキーワードで保証するものではありません。成果の速さは、ヒアリングで引き出せた一次情報の質・量と、狙うキーワードの競争度によって変わります。ココロバレでは、ヒアリングと並行してキーワードの競争度確認も行い、成果の見通しを把握したうえで設計を進めます。
Q. 製造業以外の業種でも同じアプローチは機能しますか。
機能します。「一次情報をヒアリングで引き出し、検索意図と接続した記事として設計する」という構造は業種を問いません。相続専門税理士事務所での地名+ビッグワード1位獲得、電気設備会社での採用エントリー数増加など、日米累計100社以上の支援でこのアプローチが機能することを確認しています。重要なのは業種ではなく、「その会社にしか語れる言葉があるかどうか」です。
Q. ヒアリングでは何をどのように聞くのですか。
「なぜ顧客はここを選ぶのか」「競合が対応できない局面はどこか」「製品選定の担当者が悩む判断基準は何か」という3つの問いを軸に話を進めます。「うちは普通ですから」と言う会社ほど、ヒアリングで出てくる情報が豊富なケースが多くあります。社内では当たり前すぎて言語化されていない知見が、外部の視点から見ると競合との明確な差別化要因になります。記事制作の前に、この引き出しの工程があることがココロバレのアプローチの核心です。
この記事を書いた人
藤原紗千代
株式会社ココロバレ 代表取締役/ブランド戦略デザイナー
マスコミ系制作会社で鍛えたデザイン力とディレクション力を土台に、渡米してマーケティングを学ぶ。帰国後、「伝わらないを晴らす」を掲げて株式会社ココロバレを設立。デザイン経営を軸に、企業の“強み”を“伝わる形”へと変換し、成果につなげる戦略設計を行っている。
支援実績は、開業初月で月商100万円を達成した1人整体院から、年商90億円規模のエコ企業まで多岐にわたる。デザインと経営の両視点からブランドの本質を引き出し、「伝わるデザイン」で企業価値を高めることを得意とする。