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  • 「毎日くん」

採用サイトを作り直しても応募が増えない。原因は情報量でも見た目でもなく、求職者の感情を動かす「情緒的価値」が言葉になっていないことにあります。

求職者は条件だけで応募を決めていません。「この会社は自分に合いそうか」「ここで自分が成長できるのか」という感情が、応募ボタンを押す前に動いています。整えたサイトが機能しない会社には、その感情を動かす言葉が足りていません。

この記事でわかることは、主に以下の3つです。

  • 求人票と採用ブランドは何が根本的に違うのか
  • どうやって情緒的価値を引き出したのか(電気設備会社の支援事例)
  • 採用における「情緒的価値」を作るためのプロセスとは何か

求人票を整えても、一緒に働きたい人に届かない理由

求人票が届けるのは条件です。給与・勤務地・業務内容・休日日数・福利厚生。これらは応募の可否を判断するための最低限の情報であり、欠かせません。ただ、条件が揃っていても応募が来ないとすれば、その先に何が足りていないかを考える必要があります。

採用ブランドが担うのは「なぜここで働くのか」という問いへの答えです。採用活動の目的は「応募ボタンを押してもらうこと」ではなく、「この会社で働きたい」という気持ちを持ってもらうことです。同じ業種・同じ規模の会社が並んでいるとき、応募の判断は条件よりも感情が先に動いています。たとえば、こうした印象が、採用ブランドになっていきます。

  • 「この会社は自分に合いそうだ」
  • 「ここで自分が成長できそうだ」
  • 「現場の人がどんな仕事をしているか伝わってくる」

求職者の行動もここ数年で大きく変わりました。求人ポータルで条件を絞り込んだあと、気になった会社をGoogleで検索し、公式サイトの会社紹介や採用ページをひととおり確認してから応募を判断する。AIに「この会社の評判」「この業種の現場の雰囲気」を問いかける人も増えています。こうした行動が当たり前になった以上、求人票だけを整えても、一緒に働きたい人には届きません。

採用サイトを「作った」「更新した」という事実と、採用ブランドが「伝わっている」という状態は別物です。情緒的価値が言葉になっていなければ、訪問した求職者には「どこにでもある会社」という印象しか残りません。採用サイトのデザインを整えることと、そこに載せる言葉が求職者の感情を動かすこととは、まったく別の作業です。


「うちは普通の現場仕事です」から始まった、電気設備会社の採用サイト刷新

ココロバレが愛知県の電気設備会社のWebサイト・採用サイト刷新に関わったとき、最初のヒアリングで出てきた言葉は「うちは普通の現場仕事です」でした。その言葉がどのように変わっていったか、順を追ってみます。

「普通の現場仕事」という言葉が示していたもの

この電気設備会社は、キュービクル・分電盤・配電盤の設計から部品調達・製造・現場設置・施工まで、一貫して自社で手がける会社です。地域のショッピングモール、学校、病院、工場など、東海エリアの主要施設の電気供給を支えるインフラとしての役割を担っています。

「うちは普通の現場仕事です」という言葉を聞いたとき、ココロバレは「これは謙遜ではなく、本当にそう思っているのだろう」と感じました。自分たちの仕事を当然のこととしてやり続けてきた人ほど、その仕事の価値を外から見る視点を持ちにくいものです。それ自体は誠実さの表れですが、採用の場面では、それが致命的な弱点になります。求職者に届く言葉がなければ、どれだけ良い会社でも「どこにでもある会社」に見えてしまいます。

ヒアリングで浮かび上がった2つの強み

ヒアリングを重ねると、少しずつ言葉が変わってきました。「特定のメーカーに縛られないので、顧客の要望や予算に合わせて最適な部品を自由に選べる」という話が出てきたとき、ココロバレはこれが核心だと感じました。業界では「メーカーフリー」と呼ばれるこの考え方は、電気設備業界では珍しい姿勢です。コストを下げるためではなく、顧客に最適なものを届けるための判断として自由設計を選んでいる。「うちは普通の現場仕事」ではまったくありませんでした。

さらにヒアリングを続けると、設計から施工まで一貫して自社で行う体制についても話が深まりました。外注に出さず、自社スタッフが一連の工程に関わると、品質管理の精度が上がり、問題が起きたときの対応も早くなります。若い技術者が設計から施工まで幅広く経験できるため、スキルの幅が広がりやすい環境でもあります。「製造から施工まで経験できる環境」という事実は、求職者にとって明らかに響く言葉でした。自社でしか知られていなかった事実が、外の視点から問いかけることで、初めて言葉になっていきました。

言葉が変わると、採用の結果が変わった

ココロバレがやったことは、ヒアリングで引き出した言葉を採用サイトで届けるコンテンツとして組み立て直すことです。たとえば、「現場で積み上がるスキルの幅」「メーカーフリーがもたらす判断の自由」「東海エリアの主要施設を支えているという現場の誇り」。こうした要素を、求職者が「この会社で働くとはどういうことか」を想像できる形に言葉にしていきました。

その結果、採用エントリー数が増えただけでなく、既存社員の士気向上にもつながったという報告を受けました。外から言葉にされた自社の価値を、社員自身が「そうだ、うちはそういう会社だ」と受け取ったのだと思います。採用ブランドは求職者だけに向けたものではなく、今いるメンバーが自社に誇りを持つための言葉でもあります。


採用における「情緒的価値」の作り方

「情緒的価値」という言葉は抽象的に聞こえますが、中身は「求職者がここで働くことを想像できるかどうか」という具体的な問いです。大きく3つのステップに整理できます。

ステップ1|ヒアリングで「当たり前だと思っている強み」を引き出す

電気設備会社の事例で見てきたように、当事者にとって当然のことは語られません。「うちは普通の現場仕事です」という言葉が示すとおり、自社の価値は長年の日常の中に埋もれています。外部の視点から問いを重ねることで、その日常の中に潜むその会社ならではの強みが、少しずつ言葉になっていきます。ヒアリングは答えを「作る」プロセスではなく、語り手が気づいていない言葉を「引き出す」プロセスです。採用サイトに書く言葉は、まずここから始まります。

ステップ2|求職者の検索意図に合わせた切り口を考える

「電気設備 転職」「電気工事 やりがい」「製造業 若手 育成」といった検索ワードの背景には、求職者なりの不安や期待があります。その文脈に合わせて、自社の強みをどの角度から見せるかを決めます。キーワードを選ぶことはSEOの話であると同時に、「誰に向けて、何を伝えるか」を決める作業でもあります。同じ強みでも、切り口が変われば届く求職者が変わります。

ステップ3|施工実績を積み重ね、会社の「現在地」を伝え続ける

コーポレートサイトで施工実績を継続的に更新していくことで、「どんな規模・業種の仕事を手がけているか」が求職者にも具体的に伝わります。写真とともに実績が積み上がることで、現場のリアルな雰囲気が伝わり、言葉だけでは届かない説得力が生まれます。言葉で語る強みと、実績として蓄積された事実が重なるとき、会社への信頼感は増します。東海エリアの主要施設の実績が蓄積されていくこと自体が、採用メッセージの裏付けになっていきます。

採用サイトで語る言葉と、コーポレートサイトに積み重なる実績の両方で「この会社でなければならない理由」を届けること。それが採用ブランドの核心です。求職者の感情を動かす言葉を作る作業は、採用活動における「言葉づくり」そのものです。


まとめ

採用サイトを整えることと、採用ブランディングは別の取り組みです。求人票に書けるスペックを磨くだけでは、求職者が「ここで働きたい」と感じる理由を届けられません。

電気設備会社の「うちは普通の現場仕事です」という言葉が、ヒアリングを重ねるうちに「東海エリアの主要施設を支えるインフラとしての誇り」「メーカーフリーの自由設計」「製造から施工まで経験できる環境」へと変わっていったように、情緒的価値は最初から言葉になっているものではありません。言葉を引き出し、届ける形に整えていく作業が必要です。

採用活動に行き詰まりを感じているなら、まず「自社の情緒的価値が言葉になっているか」を問い直してみてください。その問いが、採用ブランディングの出発点になります。

よくある質問

Q. 採用サイトをリニューアルしたばかりですが、それでも応募が変わらない場合はどうすればいいですか

採用サイトのリニューアル直後は、デザインや情報の整理が進んでいても、そこに書かれた言葉が求職者の感情を動かすものになっていないことがあります。「整えた」という事実より、載っている言葉が「情緒的価値」を体現しているかどうかを見直すところから始めてみてください。

Q. 「情緒的価値」の言語化は自社で取り組めますか

取り組もうとすると、当事者には「普通のこと」に見えてしまい、強みに気づきにくいという壁があります。「なぜ今いる社員がここを選んだか」「なぜ自社を選んでもらえているか」を問いかけることで、日常の中に埋もれている固有の価値が少しずつ言葉になっていきます。まずこの問いを社内で立ててみることが最初の一歩です。

Q. ココロバレの「毎日くん」では、採用向けの支援もできますか

できます。「毎日くん」(ココロバレが提供するLLMO対応ブログ運用代行サービス)では、ヒアリングを通じて経営者や現場のキーパーソンから一次情報を引き出し、採用向けの言語化・コンテンツ制作・継続発信まで一貫して担います。採用エントリーが増えた電気設備会社の事例も、このプロセスから生まれました。

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採用サイトを整えても応募が増えない。その原因が情緒的価値の言語化にあるかどうか、無料ブランド力診断で可視化するところから始めましょう。

この記事を書いた人

藤原紗千代

株式会社ココロバレ 代表取締役/ブランド戦略デザイナー

マスコミ系制作会社で鍛えたデザイン力とディレクション力を土台に、渡米してマーケティングを学ぶ。帰国後、「伝わらないを晴らす」を掲げて株式会社ココロバレを設立。デザイン経営を軸に、企業の“強み”を“伝わる形”へと変換し、成果につなげる戦略設計を行っている。

支援実績は、開業初月で月商100万円を達成した1人整体院から、年商90億円規模のエコ企業まで多岐にわたる。デザインと経営の両視点からブランドの本質を引き出し、「伝わるデザイン」で企業価値を高めることを得意とする。